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1 職員公募について

デジタルアーキテクチャ研究センターの職員公募の手続きについては、産総研の職員公募のページをご覧下さい。このページでは、当研究センターを想定して応募を検討される方向けに、当センターが行おうとしている研究等について、より詳細な情報を参考として提供します。

  • これらのテーマは、あくまでも今行われている研究や、これから行おうとしている研究の例になります。いずれの分野においても、応募者のアイディアで新しい研究を提案して応募していただくこともできます。
  • 定年制研究職員としての応募をされる方は、ITH-1 の公募課題を選択して応募ください。
  • 卓越人材枠での募集は、ITH-2になります。
  • プロジェクト型任期付研究員としての応募をされる方は、下記の内容ごとに対応するテーマ番号に応募ください。
  • いずれの分野においても、博士の学位を有する候補者のほか、特にエンジニアリングに秀でた方や、研究マネジメントの面で貢献できる方も求めています。応募資格等に不安がある方は、事前に担当までお問い合わせください。

変更履歴:

  • 2022-04-14: 2.0, 2.8, 2.9 の項目を追加しました。

2 研究テーマと求める能力・経験分野

2.0 デジタルアーキテクチャの研究

SDGsが挙げる社会課題の解決やSociety 5.0が目指す社会の実現のためには、ICT技術に代表されるデジタル技術の開発と社会実装だけでは不十分です。取り組む課題や対象とする業界が抱えるアナログ面、すなわち、①ビジョンやスコープといった戦略や政策、②法律・規則・商習慣などのルール、③実施機関や運営組織、④提供サービスやソリューション、エコシステムといったビジネス面の理解と変革が必要です。

Systems of Systemのアーキテクチャ設計ができる研究者、アーキテクチャ方法論等の形式化の知見をお持ちの方、多様なステークホルダーとのコミュニケーションと合意形成の経験をお持ちの方で、重要分野での課題解決をデジタルアーキテクチャベースに進め意欲のある方の応募を期待します。

2.1 クラウドからエッジおよびデバイスまで、超分散コンピューティングを支えるハードウェアとシステムソフトウェアの横断的な研究

クラウドにおいてはスループット指向の技術が求められるのに対して、エッジにおいてはレイテンシ指向の技術が求められます。高スループット化、リアルタイム性の確保、省エネという課題に対して、ハードウェアとソフトウェアのコ・デザインを通じて取り組みます。ハードウェアとソフトウェアのコ・デザインのため、産総研内外との連携を積極的に進めます。
コンピュータアーキテクチャ、システムソフトウェア、分散システム、ネットワーク、プログラミング言語処理系、高性能計算等の分野において高度な専門性を有するとともに、自身の専門分野の研究のみに固執せず分野横断的な研究に積極的に取り組む意欲と能力がある方を募集します。

2.2 量子・古典融合型コンピューティング技術の研究

ゲート型量子コンピューティング技術は次世代コンピューティング技術の有力な候補として研究開発の取り組みが進んでいるものの、エラー訂正や大規模化など越えなければならない課題が多く、実用化はいまだ遠い状態です。一方、量子アニーリング技術や量子インスパイアード技術を含むイジングマシンは、実用化フェーズに入りつつあります。社会はより多様化・複雑化する課題の解決手段を求めており、ハイパフォーマンスコンピュータやクラウド(古典コンピュータ)と量子コンピュータをシームレスに融合することによって、AIや大規模シミュレーション、組合せ最適化など、それぞれが得意とする処理を適材適所に使い分けることで、現実世界から収集した情報を時間遅れなく処理可能な革新的なシステムの研究開発が必要と考えています。
プログラミング言語、コンパイラ、オペレーティングシステム、計算機アーキテクチャなど幅広い分野の専門家からの応募を期待します。

2.3 超分散アーキテクチャ分野の研究

エッジからクラウドにまたがる超分散コンピューティングコアにおける基盤技術の研究として、

  • 膨大なデータを用いた大規模機械学習、学習済みモデルやデータセットの共有と転移学習等への応用を支援するAI処理サービス基盤技術の研究
  • エッジ資源を活用した膨大なデータの超分散管理・連携技術の研究開発
  • 超分散アプリケーションサービスの構築・配備・制御技術の研究開発
  • エッジとより密接に繋がる高性能クラウド技術の研究開発

等に取り組みます。

AI(機械学習や深層学習等)やその応用を支える基盤ソフトウェア、データ管理技術、クラウド技術、HPC技術、エッジコンピューティング技術、システム運用技術、AR/VRおよび可視化技術に関する研究に関心があり、著名な国際会議や論文誌において論文発表を行う意欲・能力を有することを期待します

2.4 ネットワーク上のトラストに関する研究

複雑に連携し絡み合う現代のネットワーク上での情報処理において、処理の正しさや安全性など、情報処理全体の信頼性を確保するため、ネットワーク上の様々な機器・サービス・人・データ等の信頼(トラスト)の確立に資する技術に関する研究に取り組みます。具体的なテーマとして例えば、

  • 物理層からアプリケーション層までの状況を総合してネットワーク(広域・LAN・IoT・無線等)のセキュリティを強化・管理する技術に関する研究開発
  • 大規模なネットワーク環境において、多様な機器からなる環境全体のセキュリティ状況を常時管理・把握する技術の研究開発
  • ヒト(個人や法人)・モノ(計算機やIoT機器やネットワーク)・コト(データや計算)を統合するIDおよびトラストに関する研究(ゼロトラストの概念などを含む)

などが想定されますが、これらに限定しません。
応募者には、ソフトウェア工学・プログラミング言語・ネットワーク・情報セキュリティのいずれかの専門的知見を持ち、かつ分野横断的な視点から社会課題の解決に興味を持ち貢献できることを期待します。

2.5 機械学習ソフトウェア等の信頼性確保に関する研究

近年複雑化・多様化したソフトウェアの、リアル世界まで通じる信頼性の確保・強化・検査・保証に資する技術に関する研究を進めます。具体的なテーマとして例えば、

  • 機械学習利用システムのためのソフトウェア工学
  • 機械学習利用システムの安全性・セキュリティ等のマネジメント・標準化などに関する研究開発

などがありますが、これらに限定しません。
応募者には、ソフトウェア工学・品質工学・プログラミング言語・機械学習技術などの専門的知見を持ち、かつ分野横断的な視点から社会課題の解決に興味を持ち貢献できることを期待します。(プロジェクト型任期付研究員公募については、ITH-19を参照ください)

2.6 Society 5.0 時代のソフトウェアのための形式検証技術やテスト技術に関する研究

Society 5.0を実現する、実社会と深く関わりを持つソフトウェアの信頼性のための、形式検証技術やテスト技術に関する研究にとりくみます。
具体的なテーマとして例えば、

  • データ・計算・実行環境などの不確実性に対処するシステム(例えば、機械学習やシミュレーションを用いるソフトウェア)のための形式検証技術・テスト技術に関する研究
  • サイバーフィジカルシステムのソフトウェア実装(例えば、大規模データの収集・解析・管理、アクチュエータの制御、機器間通信などのプログラム)のための形式検証技術・テスト技術に関する研究

などがあるが、これに限定しません。
応募者には、ソフトウェア工学・プログラミング言語・情報セキュリティのいずれかの専門的知見を持ち、かつ分野横断的な視点から社会課題の解決に興味を持ち貢献できることを期待します。

2.7 地理空間情報サービスに関する研究

リモートセンシング技術などを活用した、

  • デジタルツインを適用したスマートシティ・デジタル田園都市の実現
  • 画像超ビッグデータ処理・リモートセンシング

等に取り組みます。
リモートセンシング技術については初心者であっても、大量データ処理などを得意とする方などの積極的な応募を期待します。

2.8 モビリティサービスや自動運転関連技術に関する研究

 自動運転を含めたモビリティサービス(MaaSなど)の社会実装を実現するために必要な基礎基盤研究から実装・評価までを見据えた研究に取り組みます。

具体的なテーマとして例えば、

  • 人間-機械システムの協調に関する研究として、人間工学実験を用いた人間の計測、評価、モデリング技術
  • 自動運転サービスを実現するための自動運転車両に関連する研究として、位置推定や障害物検出などの環境認識技術、親和性の高い制御技術、自動運転のHMIを含めた受容性評価研究
  • 自動運転サービスを実現するための遠隔監視に関連する研究として、遠隔監視者の監視や操作の支援システムや評価技術
  • 自動運転サービスを実現するためのV2V、V2Xおよび遠隔への通信システムの構築、パフォーマンス向上に関する研究
  • モビリティサービス関連データを用いて、人の行動データや行動変容モデルの推定や評価に関する研究

などがあるが、これに限定しません。

応募者には、自動車工学・ソフトウェア工学・都市計画・人間工学・プログラミング言語のいずれかの専門的知見を持ち、かつ分野横断的な視点から社会課題の解決に興味を持ち貢献できることを期待します。

2.9 スマートモビリティに関する研究

歩行者・自動車などさまざまな移動体からネットワークを介して、スマートフォン・車載機器などのセンサ情報を収集し、SLAMや機械学習などを活用して、リアルタイムかつ広域に3次元環境認識・復元を行う研究開発に取り組んでいます。3次元環境情報を利用して、渋滞情報や混雑状況を把握し、多数の自律移動モビリティの最適な運行管理を行うプラットフォームを構築します。具体的には、

  • 移動モビリティのSLAM、自己位置推定など3次元環境認識技術に関する研究
  • センサネットワークやクラウドを活用した自律移動モビリティ制御技術に関する研究
  • 移動モビリティの3次元シミュレーション、ビジュアライゼーションに関する研究
  • 人共生に向けた移動モビリティや生活支援ロボットのための、機械学習を活用した行動計画、環境認識に関する研究

などを想定し、応募者にはこれらを遂行するために必要な専門的な知識、技術を持ち、ICRA、IROS、CVPR、ICCVなど著名な国際会議や国際論文誌へ発表を行う意欲、能力を有することを期待します。

3 産総研の研究職員として期待する人物像

産総研の定年制の研究員には、ゆくゆくは大きなプロジェクトや研究グループを率いて社会課題解決を主導する人物となることを期待します。その形は研究推進・プロジェクト運営・研究組織運営など人によって様々ですし、過去の経歴や経験、学位取得からの年数などにも寄りますが、研究職員公募に応募される方には、当面

  • まずは主著者として自身の研究を自力で進めていく能力と意欲があること、
  • ついで近い将来、大型プロジェクトに参加して、そのうちの1つの小項目・サブプロジェクトなどを企画立案・遂行できる潜在的能力と意欲があること

を期待します。
そのための人物像として、以下のような目標に共感出来る方の応募を歓迎します。

  • 同僚や産総研内外の研究者らと連携して一個人では達成できない大きな研究成果を生むことを目標とします。自分自身の力で研究内容を考えて着実に遂行できることに加えて、仲間と行う研究において自身の役割を理解し貢献できることを求めます。
  • 十分な協調性とコミュニケーション能力を備え、仲間と行う研究を円滑に進められることを求めます。周囲と相談しながら様々な問題に対処できる柔軟性を求めます。
  • ①研究プロジェクトの立案・統括・運営に貢献できる方、②前線でバリバリ論文を書いて貢献できる方、③エンジニアリングのスペシャリストとして技術で貢献できる方、④民間企業と渡り合い橋渡しに貢献できる方。いずれに当てはまる方を求めるとともに、いずれにも貢献できる方をさらに求めます。